戦争をやめた人たち

『戦争をやめた人たち』
・・・1914年のクリスマス休戦・・・
-鈴木まもる 絵・文/あすなろ書房 発行

信じる宗教や考えかたがどんなにちがっても、ふるさとの自然や、家族、子どもをたいせつに思う気もちは同じです。ほかの命のことを思う想像力と行動する勇気があれば、戦争をやめることはできます。

この絵本の作者、鈴木まもる氏が「あとがき」に記しています。

日本も参戦した第一次世界大戦。

開戦から5ヶ月経った1914年のクリスマス。
イギリス軍とドイツ軍の前線が絵本の舞台です。

当時の戦争はミサイル攻撃ではなく、目視できる距離まで相手に近づき、大砲や銃で撃ち合う戦術でした。
戦場は食料も少なく、冬の寒さは耐え難いものでした。

そして、12月24日。クリスマスイブを迎えました。
ドイツ軍との戦闘につかれたイギリス軍の兵士が塹壕で休んでいた、その時、ドイツ軍の塹壕から「きよしこの夜」が聞こえてきました。

そして、イギリス軍も歌い出しました。
すると、ドイツ軍から拍手が沸き起こりました。

次の日、クリスマスの朝、イギリス軍に無防備のドイツ軍兵士が近づいてきました。両手を挙げて・・・

イギリス軍も両手を挙げて塹壕を出ていきました。

何と握手したのです。

「メリー・クリスマス!」

それから歌を歌い、サッカーまで始めました。
1914年12月25日、本当にあった話です。

次の日から、また戦争は再開されました。

でも、相手を撃つことはせず、命令されると、銃を上に向け、空に向かって撃ったそうです。

どうすれば戦争がなくなるのか、絵本を通して考えさせられました。

民族、考え方、信じる宗教、政治の違い、当事国以外の国に決められた領土問題、資源の取り合い・・・

いくつかの問題が重なって争いが起きています。

何故、自分のことしか考えられないのか。相手の立場にたつことができれば争いは起こらないのに・・・

戦争をやめた人たち