平和の本

『平和の本』-バーナード・ベンソン作-

世界平和を願い、1984年にYMCA同盟から出版された『平和の本』を紹介させていただきます。

ある日、男の子と女の子(低学年の小学生)が出会い、今の世界を嘆き、何とかしようと考えます。
「テレビ局に行って、世界の人に訴えよう」

少年は、カメラの前に立ち訴えます。

「ボクは死にたくなんかない!生きていたいんだ!バカな人たちの言うことなんて聞くことない・・・生命(いのち)の言うことだけを聞けばいい。だって生命(いのち)はみんなの心からの叫びなんだもの。バカな人たちに、僕たちの地球をめちゃめちゃにさせないで・・・」

少年の頬を伝わって二粒の大きな涙がこぼれ落ちます。この少年の涙を世界中の人が見ました。そしてこの涙が地球を救ったのです。

次の日の新聞という新聞は、この出来事だけを知らせ・・・たった“ひとつ”涙をこぼしてる少年の大きな写真だけが載ったのです。

「世界の子どもたちはみんな死を望んではいない」

あまりの反響の大きさに3つの超大国の大統領が少年との面会を希望したのです。

少年は3つの超大国の指導者に平和を訴えますが、それぞれ事情があり同意を得ません。

少年は大統領に言います。

「隣人から自分たちを守ることだけを考えるのは、戦争へと向かう武器のいる道です。けれども、自分たちの方から隣人を守ってあげようと考えるのは、平和へと向かう武器のいらない道です」と。

大統領は国民に向かって呼びかけました。

「世界の皆さん、今、私は恐ろしい夢から覚めました。死の雲が最後の一人を窒息死させてしまうまで、私たちを分厚く覆っていました。その時私にはこの雲だけしかわからなかったのですが、黒い渦巻きを噴き出していたのは、実は私自身の頭からだったのです。しかし、突然、一筋の光が私の目を開かせてくれました。それは消えることのない光でした。少年の澄みきったやさしさが私から死の雲を追い払ってくれ、私に陽の光を届けてくれたのでした」

この本では締めくくりにこう伝えています。

「いま、世界がひとつになれたのは、“生きる”ことによって・・・だったのです