『はだしのゲン』は作者、中沢啓治自身の原爆被爆体験を基にした内容です。
広島への原爆投下により、ゲンの家族は父、姉、弟が圧死。残された母とゲンが敗戦後の焼け野原の中で生き抜いていく姿が描かれています。
主人公のゲンは困難にめげません。
いつも希望を捨てません。
奇跡のドラマです。
NHKの番組「新プロジェクトX~アメリカに渡った漫画~」を見ました。
この番組で『はだしのゲン』の存在を知りました。
番組の冒頭、大嶋賢洋という方が紹介されました。
彼は1971年、バックパッカーとしてアメリカに渡ります。
当時のアメリカはベトナム反戦運動が盛り上がっていました。
彼はヒッピー革命ともいわれた9カ月にわたる「平和行進」に参加しました。
非暴力の反戦平和デモです。
大嶋氏はベトナム戦争に反対し収監された経験を持つジム・ペッゴ氏に偶然出会います。
「キミがこの『はだしのゲン』を英語に訳すんだ」
ジムは大嶋に言いました。
一人ではできない。
大嶋は仲間を集め無償の素人翻訳集団「Project Gen」を立ち上げます。
大学生を中心とした市民ボランティア集団。
彼らは『はだしのゲン』を平和のメッセージとして世界に届ける大きなムーブメントを生み出しました。
翻訳作業は困難でした。
日本語独特の言い回しの英語表現。
登場人物の感情表現。
日本人とアメリカ人の表現の違い。
漫画ゆえの短い表現でどう伝えるか。
何度も英訳を見直しました。
当時はパソコンはなく手書き。
完成まで多くの時間を要しました。
1978年、第1巻の英訳が完成。ニューヨークの平和団体へ1,000部を送付。
2009年、英語版全10巻を完成。
現在25以上の言語に訳され、世界中の学校や図書館で「戦争を知るための教材」として読まれています。
驚くべき市民活動です。
彼らの働きには「大いなるもの」の働きと共に、「ゲンの声を世界に届けたい」という作者の想いがあったからだと思います。
ジムは言います。
「この漫画は罪悪感を抱かせるものではない。主人公ゲンはどんな状況でも生きる術を探している」

