-ストーリーで学ぶ「ハイデガー哲学」-
飲茶(やむちゃ)著/ダイヤモンド社
「もし、あした死ぬとしたら、今までの日々に後悔はありませんか?」と問いかけます。
ステイーブ・ジョブスも同じことを言っています。
「もし今日が人生最後の日だったら、今日やることは本当にしたいことなのか?」と。
世界的名著『存在と時間』を著したマルティン・ハイデガーの哲学を物語風に展開しています。
ハイデガーが唱える「死の先駆的覚悟」(死を自覚したときに、はじめて人間は本来の人生を生きることができる)を分かりやすく解説しています。
そして「人生とは何か?」を問いかけます。
時代は中世ヨーロッパ。贅沢三昧の王子がサソリに刺され、余命宣告を受けます。
死の恐怖に怯えた王子は自ら命を絶とうとします。
そこでハイデガーを信奉する老人に出会います。
王子は、老人からハイデガー哲学を学んでいきます。そして学びを通じ「死」について考えるようになります。
なぜ幸せを実感できないのか
なぜ不安に襲われるのか
なぜ生きる意味を見いだせないのか
最後の章はオスカー・ワイルドの『幸せの王子』で締めくくられています。
「どうか、お願いだから、幸福に生きて・・」王子の言葉にツバメは、「一緒に生きてくれてありがとう。最期までそばにいてくれてありがとう」と言いながら足元に落ちていきます。
人は必ず死にます。生まれてから死ぬまで限りある時間をどう生きるのか。
人は死を目の前にしないと、この当たり前の事実を感じ得ないものだと痛感させられます。
「物質的な物はなくなっても、また見つけられる。しかし、一つだけ、なくなってしまっては、再度見つけられない物がある。人生だよ。命だよ。」
ステイーブ・ジョブスの言葉が甦ります。